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認知症の方のケア [地域看護の仕事]

長年、末期癌と告げられた患者様や末期癌を告げられる患者様のケアに携わってきました。
自分の『命』『役割』『身体機能』の喪失を体験する方と限りある生を力一杯生きること、大切な人に何を残せるのか?又は大切な方を失う体験をされるご家族とどのように命を支え、お別れするかたくさん語り合いました。

今、私の出逢う多くの方は認知症により『知』や『記憶』の喪失を体験されている方たちです。長く人生を歩んでこられた誇り高く、孤独な認知症の方を支えることはとても難しいと感じています。

生活の機能が失われてくると身近な方がその変化に気づきます。
一人暮らしの方がその変化に気づいてもらえるのは本人が自分の変化を不安に思うもっとずっと後なのだと思います。
自分の記憶力に不安を覚えるならまだ助けを求められるのかも知れません。でも自分の能力の低下を受け入れられないことも多くあります。ひとりで生きていかなくてはいけないのですからしっかりしないといけないし、今までだってすべてひとりで乗り越えてきたのですから。
あるはずのものがなくなっていたり、身に覚えのない日常の変化に被害妄想から始まり、誰よりも近いはずの支援者を遠ざけてしまうことも多くあります。
人付き合いから遠ざかり1人で不安と不便さの中生きてきた強くて脆い人たち。
家の中は今までのように片付けられない、ゴミとそうでないものを分けて捨てることって大変なことです。
でも誰にも迷惑をかけたくない。
それが今まで通してきた自分の生き方だから…困っているにもかかわらず助けてといえず、一生懸命生きているのに周囲には人に迷惑をかける問題のある人にしか映らないことが多いのです。

その方の生きてこられた人生と本人の誇りを守るために私たちが出来ることはその方の人生をたくさん語ってもらうこと。大切にしてきたもの、好きだった人のこと、得意だったもの、幸せだったときのこと、その方の優しさや人間らしさや誇りに触れることです。そしてそれを支援者と共有してその人らしい生活を支えることです。困った時に助けを求めたり、助けを受け入れたり…安心できる環境に生きることが出来るよう私たちはコツコツと足を運び、本人の環境の一部となり受け入れてもらうことです。

認知症の方が健康に生きるということは栄養を確保すること、清潔(身体と生活環境と身にまとう服の清潔)が保たれること、睡眠を確保すること、排泄(失禁と排便のコントロール)が適切になされることはもちろん “人との関係が維持できること”その中で“幸せだと感じながら生きること”だと思います。
その方が必要としている方との関係を維持していけるよう、私たちはその方の日常に登場する方々に支援者となってもらえるよう丁寧に呼びかけます。認知症になってしまったその方に戸惑い排除しようとしていた方が支援者に変わり支援の輪が広がる体験が今何より嬉しいです。

そして…支援してきた方が入院されました。生活の立て直しをするための入院です。
たくさんの方と繋がり支援の輪が広がりました。支援者もいろいろなことにぶつかりながらそれぞれが成長していますね( ̄ ̄— ̄ ̄)ニヤリ
さあ、まだまだこれから!!
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