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アサーティブでいこう! [そらいろの軌跡(過去の記録から)]

看護師は、ストレスの多い職種であるようです。

重症な患者様であればあるほど医療やケアへの期待は大きいでしょうし、生命を脅かす重大な疾患の場合、死を意識し危機的状況にある患者・家族に出会ったときに同じ人間として生死の問題を突きつけられたりもします。
また、医療や福祉や教育の職場では特に「優しさと厳しさ」の2つの態度を両立させなければならないストレスがあるのだそうです。とにかく自他共に認めるくらいストレスの多い職場です。
その中でも、看護師(特に若い看護師)は、医師ー看護師関係においてもストレスを感じることが多いのです。

なぜなら、同様にストレスの多い職種である医師のストレスのはけ口が看護師に向けられたり、患者様の代弁者として医師に物事を伝えるときに手際よく伝えられず聞き入れてもらえないことなど日常茶飯事なのです。また、長い間、医師の権力は医療界で絶対的と思われてきた背景もあるでしょう。
こうした中、ストレス・マネジメントは、看護師にとって自分の身を守る重要なスキルといえます。

今日はその中でも、アサーション・トレーニングを少しご紹介します。

アサーション・トレーニングは、人間関係の構築や修復、コミュニケーション向上を目的としたものだそうです。これを、うまく取り入れて、爽やかに主張していきたいのです。

あなたは、人間関係が不安定になりかけたとき、どのように相手とコミュニケーションをとっていきますか?
そのパターンは次のようになるでしょう。

・ノン・アサーティブ(非主張的・受身的)-言いたいことがあるのに相手を優先して、自分は我慢してしまう。もめずに治めるためにひたすら我慢してしまう。

・アグレッシブ(攻撃的)行動ー我慢が限界を超えると一転して攻撃的な態度に出る。

・アサーティブ(自他尊重)ー相手も自分も大切にする自己表現。

もちろんアサーティブがいちばん適した自己表現です。

相手を黙らせようとしたり、自分が遠慮して引き下がるのではなく、相手への配慮はきちんとしながら自分の言いたいことを伝えるというものです。素直で温かな表現をしていきましょう。
そして、もしも相手がノン・アサーティブやアグレッシブで応対してきたときに、自分がアサーティブでいられるようトレーニングするのです。

方法は…
相手の行動(ノン・アサーティブ、アグレッシブ)を「出来事」として、これを「合理的な捉え方、考え方で受け止められるように」するのだそうです。
たとえば、相手が逆上しアグレッシブに対応してきたら、「アサーティブに言うべき!!」となるのではなく、「相手もアサーティブに主張した方が良いが自分を否定されていると思ってしまったのかもしれない」と考えると、自分へのストレスは最小限に抑えられ、次の自分の言動では相手を思いやった態度で、自分を主張できるのだそうです。
そして、自分の態度により相手にも変化をもたらし、お互いの話し合いができていくというものです。

「医師と看護師」に限らず、「上司と部下」「先輩と後輩」「親子」でも活用できそうですよね!

この記事は過去に書いたものを再掲載しています。

グリーフケア [そらいろの軌跡(過去の記録から)]

グリーフケアとは“悲嘆のケア”…喪失体験をされている方へのケアですが

ここでは“自分にとって大切な人を失ってしまった方が
その大切な人の死を乗り越えるためのケア”として…

私は今“患者様の家族”ではなく…
つまり仕事としてではなく…
“彼女”が悲しみを乗り越えることをどのように支えられるか考えています…


看護職である彼女は“看護”に何らかの期待を持って私に声をかけてくれたのでしょう…
もしも自分が大切な人の死を乗り越えられるとしたら…どんな力が必要でしょう?

もしも悲しみや無力感や虚しさにこころを占領されそうになったら…何がこころを浄化してくれるでしょう?

それは…
それは、その人に“ありがとう”と涙を流せる体験ができること…

それは、私の人生を“これでいいんだよ”とその人の人生が“そっと背中を後押ししてくれる”体験…

そんな温かい体験ではないでしょうか…

その人の苦しみばかりに目をとられ“何もできなかった自分”を責めてしまう辛い体験から心を解き放って欲しい…



その人がくれたことがたくさんあるね…

その人が幸せに思ってくれた瞬間はどんなだったっけ?

その人の人生があなたの人生の一部分を形成しているんだね…

大切な時を過ごせたね…



“あなたと出逢えてよかった…ありがとう…”



彼女がそう思えますように…



この記事は過去に書いた記事を再掲載しています

上手に教えることを教わる [そらいろの軌跡(過去の記録から)]

我が家には、8月で4歳になるジャックラッセルテリアがいます。

彼女は生後2ヶ月の時に我が家にやってきました。

実は、小型でかわいらしい外見とは異なり、
ジャックラッセルテリアは飼いにくい犬種として知られている犬なのです。
なぜなら、もともと狐を追う猟犬であるこの犬は、狐の巣穴に入りそこで狐を追い出すまで何時間も過ごして狩りをするらしく、その間自分の判断で行動する犬なんですって。
自分の判断で行動したいのでしょうか。

それに、ペットとして改良を加えられていないので“やさしい”“おだやか”という性格の犬ではないとのことで
心の準備をして飼いはじめました。

余談ですが、私がジャックラッセルテリアを欲しかったのは、山を歩く時に相棒になって欲しかったからで、
身体が小さい私でも無理なく扱える大きさと山でへこたれない体力の持ち主である事が決め手でした。

さて、しつけの本を数冊購入して子どもと一緒に勉強しました。
実家では、犬を飼っていたのですが、子どもとともに正しい知識を身につけたかったのです。
犬のしつけっておもしろいですね★

絶対に叱らないんです。「ほめる」だけなんです!!

犬は長い会話を理解する事はありません。コマンドのように人の言葉を理解するみたいです。

だから、好ましくない行動を取った時、なんでいけないのか説明してもわからない。

いけない事はいろいろな場面で起こるのですから、訳が分かりません。

それに、叱られているのとかまってもらっているのもよくわからないんですね。

それに比べていい行動を教えてあげてできた事を褒めることは1つ1つクリアしていけます。

知らない(人間の)世界の事を教えられてもいないのに、できないのは当たり前です。
ひとつひとつ教えてあげなくちゃ。

例えば、トイレトレーニングは、こんな感じです。

まず、犬が自由に動ける範囲に新聞紙を敷きつめて、おしっこをしたらおしっこの臭いがついたところを少し切り取って新しいものに重ねながら少しずつ範囲を狭くしていきます。

新聞紙の中に上手くできたら、そのタイミングで褒めてあげるのです。
失敗したら、犬に気付かれないように「知らん顔をして」片付ける。その繰り返しです。
犬はどう行動した時に褒められて「気持ちいい」のか覚えていくのです。

そそを叱った事で家の中では絶対に排泄ができなくなってしまったという話しもよく聴きます。
排泄そのものがいけない事だと伝わってしまったのでしょうね。
この要領で、アジリティー(犬の障害物競走のようなもの)やフリスビーも覚えました。

これは、子どもや看護師の教育でもおなじだなっ!て思いました。
教わったり、経験のない事をできないのは当たり前。
それなのに
「なんで、こんなこともわからないの?」
「なんで、考えて行動できないの?」
何度こんな気持ちになったことか…。

でも、初めての事なんだから、わかりやすく、タイミングよく教えてあげればいいんですよね。

すべてを教えなくたって、考えるヒントを「上手に教える」のは、私の側の課題なんだって気付きました。

根気よく教えて成功を体験させてあげる事
がんばった事を褒めてあげる事
そうする事でがんばれるんだね。
こんな素敵な事を愛犬から教えてもらいました。

この記事は過去に書いたものを再掲載したものです。
ジャックラッセルのちゃちゃは11歳になりました^^;

にもかかわらず笑うこと [そらいろの軌跡(過去の記録から)]

私は仕事柄、人生の過渡期にいたり危機的状況の渦中にいる方と接してきました。

それは病いであったり老いであったり、死に直面した重い病状の方々です。

そしてそんな時であっても周囲に笑顔を向けられる多くの方々を私は知っています…。


私にはそんなすてきな出逢いがたくさんあります…。

そして看護はそんな方々と過ごす時間であり看護している私自身が大きく心を揺さぶられ、深い愛情を感じるのです…。

その方のお宅に伺い、お身体の状態を観察する…。
体温や血圧、呼吸パターン、むくみ、排尿や排便の様子など手足やお腹に触れたり聴診器で確認しながら、前回の訪問から変わった出来事は無かったか、困ったことは無かったか、心配事はないか…。
それから…ついつい喧嘩しちゃったり、憎まれ口をきいちゃった反省の気持ちや秘密の出来事を聴いたり、嬉しい出来事なども…。

私はあはは…と笑いながらその話しにのっかって相づちをうち、患者さんもご家族もあははと笑う…。
その一方では症状の重さや今後起こりうるであろう変化を指導しながら…。

病状は深刻なのにその空間には笑顔があり、ユーモアがある…。

その優しさに人の強さを感じるのです…。

私は、看護師だからこんな優しさに支えてもらえるのだなあと思います。

だから看護師として応えられるような自分でいたい…そう思うのです…。

ドイツにおけるユーモアの定義は「にもかかわらず笑うこと」なのだそうです。

語源はもともと“体液”という意味のラテン語だそうです。

ユーモアと笑いは人間だけに与えられた貴重な能力なのだそうです…。

これは、上智大学のアルフォンス・デーケン氏の言葉です…

この記事は過去に書いたものを再掲載しています

愛をありがとう… [そらいろの軌跡(過去の記録から)]

この記事は「家に帰ろう」http://hana-chacha.blog.so-net.ne.jp/2014-12-29
     「しあわせの時間」http://hana-chacha.blog.so-net.ne.jp/2014-12-29-3
     「いつもそばに…」http://hana-chacha.blog.so-net.ne.jp/2014-12-29-2
     の続きです


その日は朝出勤前に訪問…
昨日から大きな痙攣は治まっていますね
ごく小さな痙攣が小刻みに起きていますが穏やかです…

血圧を測ってみると確実に落ちている…
呼吸回数は保たれていますが、酸素飽和度はふるわない…
お小水はもう3日ほど前から1回/日です…

別の部屋で状況をお伝えし、その日は息子さんたちもお仕事をお休みしてもらうよう提案すると
息子さんたちはお休みだったようです…
もし、連絡する人がいたら連絡してください…

ご夫婦ともに北海道出身…
北海道からお姉さんが到着するのは深夜0時頃だそうです…
うん、今日来てもらった方がいい…

再度これから起こり得る変化についてお伝えし
昼にもう一度来ますね…といいつつも
変化があれば、訪問を待たずにいつでも連絡くださいね…

一番早く行ける看護師に吸引器を届けてもらい
私は昼に伺いました…
少し前に訪問した看護師も血圧を測ったので低いことはわかっていました…
血圧は…測った方が安心ですか?
私は(測らなくて)いいです…と奥様
測ってもらいたいです…と長男さん
じゃあ測ってください…と奥様

血圧は収縮期圧60㎜Hg を下回っていました…
それは、もう先ほどから続いていることだったのです…
息子さんにしたら少し戻ってくれているのではないかという気持ちがあったのでしょう…

奥様は母として息子たちにできるだけお父さんのケアを分担していました…
お父さんにたくさんたくさん触れて…
状況は厳しいのですが
とても静かな時が過ぎていました…

夕方来ますね…
間で2件の訪問をしたのち再度伺いました…

血圧は測りますか?
いいです…
穏やかですね…

hanaさん、お茶を飲みましょう…
ケーキを一緒に食べて。私、hanaさんとなら食べれるから…
一人じゃなかなか食べれなくて…
一緒にケーキをごちそうになって
たった一週間のおつきあいなのになんだかこんなに身近にいる不思議さ
ここでこうして関わったみんなの出会いに感謝しあったり…

でも、お別れの時は近づいてきていることを互いに理解しつつ…

21時…便がたくさん出てしまい0時にお姉さんがくるのに上手くケアができないと電話があり訪問…
次は、息子たちとできますから大丈夫です…
呼吸パターンが変わっていました…

もう日付が変わる頃…お父さんの呼吸が不規則になっているの…
お姉さん到着されましたか?
ええ、少し前にきて…動かしたのがいけなかったのかしら…
そんなことないですよ…皆さんに会えてよかったですね…
そうなんです…お父さんがんばってくれて…もう少し大丈夫です…みています…また電話しますね。

その数分後…hanaさんお父さんの呼吸が止まりそう…
すぐに行きますね…

とても穏やかな優しい顔をされていました…

みんなで髪を洗って…
ラベンダーの精油をたらしたお湯で身体を拭きました…

ケアする私がたくさんの愛をお裾分けしていただきました…


素敵なご家族との出会い…
その方のお住まいはエリア外だったので本当は別のステーションが担当するはずだったこと…
その日の早朝に出張で出かける予定でしたが、私がお看取りを担当できたこと…
そんな偶然にもご縁を感じるのです…

ほんとうにありがとうございました…

この記事は過去に書いたものを再掲載したものです

いつもそばに… [そらいろの軌跡(過去の記録から)]

静かな時間は長くは続きませんでした…
  この記事は「家に帰ろう」http://hana-chacha.blog.so-net.ne.jp/2014-12-29
       「しあわせの時間」http://hana-chacha.blog.so-net.ne.jp/2014-12-29-3
      の続きです

モルヒネ増量で夜間の睡眠が少しだけ持続するようになったのもつかの間
「左手がつる」症状が始まりました。
訪問すると、おそらく肝不全からの症状…痙攣でした…

医師の往診も受けましたが仕方がないと言われたそうで…

少しでも緩和ができないかと
筋の緊張をラベンダーとグレープシードオイルでマッサージ…
でも痙攣の間隔は狭まっていました…
医師に痙攣の頻度が増えていることを伝え、抗痙攣薬の座薬を出してもらいました。

翌日深夜には大発作を起こすようになり、意識が落ちていきました。
抗痙攣薬は…残念ながらあまり効かず…
ご家族と話し合い、呼吸抑制を心配しつつも少し強い薬を使うことになりました。
呼吸回数をみながら、主治医により鎮静剤を注入…

痙攣が治まり、呼吸回数もしっかりと保たれています…
よかった…

声をかけてあげよう…
身体に触れてあげよう…
お父さん…
少し楽になったね…よかったね…

奥さまは介護の仕事をされていたこともあり
その命が最期を迎えられる時は遠くないことを知っていました…
それでも…
それでも、別れたくないんです…私どうしたらいいの?
この人がいなくなったら…私生きていけるのかしら…

いつもそばにいらっしゃいますよ…
いっしょに生きていくよっておっしゃっているんじゃないかな…

そうね…
お父さん…

これから起こり得る呼吸の変化と連絡方法を伝え、訪問は一日複数回訪問に切り替えました…

この記事は過去に書いたものを再掲載しています

しあわせの時間 [そらいろの軌跡(過去の記録から)]

このお話は前の記事からのつづきです…
http://hana-chacha.blog.so-net.ne.jp/2014-12-29


その方の訪問は、初回から「毎日訪問」となりました。
訪問看護の頻度は、状態と介護力、経済的理由も含めて相談しながら決めていきますが
在宅への準備期間が短かったこと、退院直前にイレウス(腸閉塞)により中心静脈栄養法となったこと、初日から胃管の管理も増えたこともあり、この数日間で身体的状況もかなり変化してきていましたから、落ち着いたら週3日にしたとして少しの間毎日にしましょうか…と提示してみたのです。
状態が不安定でも訪問回数が増えれば経済的負担は大きいですから、緊急時は電話がいつでもかけられるから…となることも多くありますが、やはり不安がいっぱいあるのでしょう…奥さんはそうして欲しいと希望され毎日訪問が始まりました。

症状の確認と変わる症状のケアの指導…
それからご夫婦やご家族の歴史を語って頂いたり…
(どんなに重症でも、いえ重症だからこそ…私は何よりこれが大切だと思っています)

台所のカウンターに飾れている4枚の写真…
どの写真も背の高い本人の身体にぴったりと小さな奥様が寄り添っています。
幸せそうな奥様の笑顔と照れくさそうに笑うシャイなその方の笑顔…
3枚はご夫婦の写真…
もう一枚は笑い声が聞こえてきそうな家族4人の顔がぎゅーっとくっついたまぶしいほどの満面の笑顔の写真…
なんて素敵な写真なんでしょう!
息子さんたちは20代後半…本当に仲のよい家族…
でも、難しい時期もあったのよ…と奥様…
奥様が話すご夫婦のお話をお聴きしながら羨ましがる私をシャイな笑顔のご本人が笑うのでした…。

吐き気はだいぶいいようですね…
痛みが結構強いですね…夜間の睡眠が取れないのはそれがあるかも…。
今回はモルヒネがメインに入っていますがPCA*ポンプは使わず
突出痛のレスキューはアンペックとしていました。
アンペックが3回使われていることを主治医と薬剤師さんに伝えメインを増やしてもらいました。

3日後の日曜日の訪問…
奥様が見せてくれたデジカメの写真には、朝植木に水をやるご本人の姿…
「うわー、すごい…花も喜んでいますね」と言うと
「飼い主がかわいがってあげないとね」と嬉しそうに笑いました…。
家や庭には本当にいろいろな花が咲いています。
「私よりこの人の方が花を育てるのが上手なんですよ。ね、お父さん。」…


膵臓がんの末期…黄疸、腹水、イレウス、痛み…
なのに…こんな優しい時間がありました…
大変な介護の中…奥様からはいつも幸せだったことのお話が…
私の身体をすり抜けてそれはご本人への感謝の言葉…
時間がないことはわかっていました…だからこそそんなお話が大切…

既にいっぱいにうまったスケジュールに入った訪問だったのでいつも伺うのは夕方5時頃…
でもそのおかげで少し余裕を持ってお話ができました…

(つづく…)

PCA (Patient Controlled Analgesia):疼痛患者が自分自身で鎮痛を必要とする時に予め設定されている鎮痛薬を自分で注入する方法

この記事は過去に書いたものを再掲載したものです

家に帰ろう… [そらいろの軌跡(過去の記録から)]

暑い夏のこと…
静かだったステーションがざわつき始めました…
職員一人の退職と一人の結婚休暇で詰まったスケジュールに
次々と新規依頼が舞い込んできます。

その方の退院の日は突然決まりました。
最期まで診てくれるといった主治医に別れを告げ、5年前に建てたマイホームにその方は帰ってきました…
ご自宅に到着するのは17時過ぎ…
ちょうど少し離れた市にある病院から呼吸器で帰る利用者さんのカンファレンスと重なってしまい、その日は主治医の先生とケアマネージャーさんにお願いしました。
カンファレンスが終わったのは19時過ぎ…退院の安否を電話で確認
「無事に帰ってきて、先生の往診も明日でいいと言ったんです。大丈夫です。」
では、夜の初回訪問はやめて翌朝訪問を予定しましょう。

翌朝5時前、電話が鳴ります…
「(24時間の)点滴の落ちが悪いみたい。昨夜は一時間ごとに吐いて眠れていないんです。点滴が落ちていないからかしら?大丈夫なんででしょうか?」

膵臓がん…嘔吐はイレウスによるもの。そのため退院直前から栄養は全面中心静脈からとなっていました。
退院前に一時胃管を入れたものの、胃管を留置するよりも吐いた方がよいと言って抜いて退院されたのでした。
末期がんの患者様の訪問はできる限り早い訪問を予定するのですが、タイミングを間違えると緊急の訪問が初回になることもあるのです。
おそらく、退院直後に訪問していても今回の事態は避けられなかったでしょうが…。

訪問前に在宅の担当医(こちらもまだ患者様には会っていませんが)に電話をし、相談の内容とこちらで胃管を入れてもよいか確認してから訪問。
実は、胃管の挿入は「医行為」なので事前の確認やプロトコールが必要です。
退院前に入院中の主治医にも胃管を抜いて帰ってくることを聞いていたので、緊急時に看護師が挿入することがあったら注意する点は何かと入院中の挿入の長さを確認していました。

初回訪問…
退院日に合わせてケアマネージャーと業者で介護用ベッドを入れてくれていました。
さすが!急な退院だったのに仕事が速い!!業者さんとの連携もばっちりです。

電話でお話した印象通りの人なつこい優しいかわらしい奥さん…
その方は…やはり胆汁様のものを嘔吐していました…
ご本人に胃管を一時的にでも挿入して胃の内容物をドレナージしようと説明し胃管を入れました。
100㏄ほど吸引すると、嘔吐は治まり眠り始めました。
よかった…。
主治医もその直後到着し、本人と奥さんと相談して胃管はそのまま留置することになりました。
その日の夕方、再度訪問すると吐き気が全くなくなった訳ではないけれど
嘔吐はなくなっていました…

夕方は薬剤師さんとの同行訪問
在宅での塩酸モルヒネ注の受け渡しは家族にできないため、
看護師の訪問に合わせて薬剤師さんも訪問してくれることになったのです…

いいメンバーだなと嬉しくなります…
このご家族に呼び寄せられて在宅の力が集結したのだと
私も身が引き締まります…

この記事は過去に書いたものを再掲載しています

天使が空へ… [そらいろの軌跡(過去の記録から)]

その日彼女が私を呼んでくれた気がします…



天使が空へ帰りました…


髪を洗って…

身体を拭いて…

制服を着て…

髪を結んで…


かわいいね…天使のようだね…


彼女のがんばりをみんながねぎらい
ひとりひとりがお別れをしました…









関連の記事からお読みいただいた方々ありがとうございました…


この記事は過去に書いたものを再掲載しました

「ガラスのブルース」 [そらいろの軌跡(過去の記録から)]

「お家で最期まで過ごそう…」と決めた女の子…。

朝、主治医から電話が入り痰がからんで苦しがっていることを知りすぐに駆けつけた。

かなりの喘鳴…前々日の夕方に吸引器を「保険だよ」と言って届けたのは正解だったが、
吸引方法を指導して帰ったものの、いざ実施と言っても上手くとれず、遠慮して朝まで頑張ってしまったのだ…

吸引させてもらい、喉の痰をとり両肺の痰をしっかり出す為の排痰ケアを行った。

訪問直後はチアノーゼが出現、酸素飽和度が69〜77%(!)だった…
本来は救急車要請となる状態なのだがお母さんの最期までお家でみる意思はゆるがない、本人も頑張る…それを確認しながら排痰ケアを行い喘鳴が軽減してきたのが30分…
酸素飽和度88〜90%になった時点で主治医に電話し在宅酸素療法の開始を検討した。
さらに排痰ケアを促し呼吸が安定するまで1時間かかった…
酸素飽和度96〜97%まで回復したところで一時他の訪問へ…。

一件訪問が終わった時点で電話を入れるとその後は落ち着いて今はよく眠っていると。

丁度、酸素会社の人が酸素濃縮器を届けに来たとのことだった。
嚥下障害が著明に出て呼吸パターンも変わって来ている…。

2日前は傾眠だった…。

確実に進行しているのだ…。

夕方、排痰ケアのために訪問…。

朝の状態とは打って変わって安定した呼吸…。
BUMP OF CHICKENのCDを流して
さっきブレンドしてきたユーカリとラベンダーとグレープフルーツのアロマオイルで
だるい手のマッサージと胸郭のリラクゼーションをしながら…

彼女が口ずさんでいるのがガラスのブルース…

いいよね…歌って…と小さな口が動いた…。



ガラスの眼をしたネコは唄うよ 大きな声でりんりんと

ガラスの眼をしたネコは唄うよ 風にヒゲをゆらしりんりんと
「声が枯れたなら川に行こう
水に写る顔をなめてやろう

昨日よりマシなメシが食えたなら
今日はいい日だったと
空を見上げて笑いとばしてやる!!」

あぁ僕はいつも精いっぱい歌を唄う

あぁボクはいつもチカラ強く生きているよ

ガラスの眼をしたネコは唄うよ お腹が空いてもりんりんと

ガラスの眼をしたネコは唄うよ 生きてる証拠をりんりんと

ガラスの眼をしたネコは叫ぶよ 短かい命をりんりんと

ガラスの眼をしたネコは叫ぶよ 大切なイマをりんりんと
「生まれてきた事にイミがあるのサ
1秒も無駄にしちゃいけないよ

嵐が来ようが雨が降ろうが いつでも FULLPOWER で
空を見上げて笑いとばしてやる!!」

あぁ僕はいつか空にきらめく星になる

あぁその日まで精いっぱいうたをうたう
声が枯れたなら川に行こう
水に写る顔をなめてやろう

生まれてきた事にイミがあるのさ
1秒も無駄にしちゃいけない
だから
僕は歌を唄うよ
僕はいつもウタをウタうよ
僕はいつもウタをウタうよ
ボクはイマをサケブよ

ガラスの眼をもつ猫は☆になったよ 大きな声も止まったよ

命のカケラも燃やし尽くしてしまったネ・・・ 得意のブルウスも聴けないネ
だけどオマエのそのブルースは 皆のHEARTの中に刻まれた

これからツライ事がもしあったなら
みんなは唄いだす
ガラスの眼をもつ猫を思い出して
空を見上げてガラスのブルースを

あぁ僕はいつも精いっぱい歌を唄う

Ah 僕はいつも力強く生きているよ

あぁボクの前にくらやみがたちこめても

あぁボクは ALWAYS 精いっぱいウタヲウタウ
…… 






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