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人のいのちに触れること [そらいろの軌跡(過去の記録から)]


日々ぱたぱたと暮らしています…。

最近出逢った方のことを考えている日が多くなりました…
膵癌の終末期にある方です。

元気だった頃、どんな姿で活躍されていた女性なのか…
どのような価値観で生きてこられたのか…
心穏やかな時間を過ごし、語ってもらいたいな…と思っていますが
その方はもうご自分の命が週単位(数日単位)だと捉えなければならない今、絶望の淵にいらっしゃいます。

診断を受けてから2年間『癌』を否認し、民間療法を続けてこられましたがトイレに立つ体力が無くなり、ものが喉を通らなくなった今、「自分を癌と認めざるを得なくなり、『癌だから辛い』」と…。

ずっと病気と向き合えず、不安を隠し一人で闘ってきたのでしょう…
元気になることだけを考え、自分を励ましながら生きてきた様子が見え隠れします。

周りもそんな彼女を励まそうと彼女の否認を受け止めていたのでしょうね。

本当は一番怖かったこと、一番誰かと分け合いたかったことは、死の恐怖…だったのではないかな…。

だから、今彼女が死を意識したことは「可哀想」とか「残念なこと」ではなく、死の恐怖を少しでも分けてもらい一緒に考えるチャンスでもあると思うのです…。
そんなことを妹さんと話しながら少しでも彼女が平穏な時間を過ごせるように考えています…。
彼女の弱音を否定したり叱咤激励するのではなく、そのまま受け入れていきましょうね…、妹さんの気持ちも看護師がサポートしますよと…。

痩せているのにむくみと腹水ではち切れそうなお腹を抱えベッドに沈み込む身体…
その身体と心が少しでもリラックスできるようアロマオイルを使いマッサージしながら話しかけると「気持ちいいわ…」とウトウト…。

少しずつ、生き方や価値観に触れるような会話を持ちつつ…
ケアはご本人の希望に合わせながら清潔のケアをして、排泄と利尿剤とビタミンの点滴を少量…
それにメインで介護に当たる妹さんへの精神の支えとなること。

明日はどんな話しができるかな…

=追記=
この記事を書いた数日後に彼女は最期を迎えられました。
辛い葛藤があった後、今晩お別れのときがやってくるという日の訪問は静かな音楽を流し、ラベンダーの香りで静かに時を過ごしました。
その日はすぐに出れるよう、早めに風呂に入り、トレーニングウエアで休みました(実はトレーニングウエアで訪問看護しています)。
彼女が旅立たれたのはまだ朝の気配もない時間帯…お顔は穏やかでご家族も静かにその死を受け止めておられました。彼女と彼女を支えられた周囲の皆様へ…大切な時間を共に過ごさせて頂き感謝いたします。
ご冥福をお祈りします…

この記事は過去に書いたものを再掲載しました。
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のび太

ご冥福をお祈りしています。
by のび太 (2014-12-21 18:35) 

hana

のび太さん、病気を告げられた時それを受け止める形は様々です。
病気になった自分を受け入れて不安に対処しながら自分の生き方をもう一度振り返り自分らしく生きられる方もたくさんいらっしゃると思います。一方でたくさんの葛藤の中で一人抱え込み、孤独の中で苦しまれたり自暴自棄になる方もいらっしゃいます。
この記事は、患者様とご家族への感謝と看護師がご本人の悲嘆(喪失)へのケアや自己概念や家族の苦しみにも関われることを皆さんに紹介したかったのかも知れません。
by hana (2014-12-22 05:54) 

ちょんまげ侍金四郎

昨年の6月に母親を亡くしまして、もう晩年は認知症と長年の投薬による肝臓疾患で癌もみつかり、腹水もかなり貯まってしまっている状態でした。
こういった記事を拝読しますと、改めて自分は母親の気持ちを受け入れていたのかな、ベストをつくしたのかなと考えてしまいます。
ただ最後は、病院に様子を見に行きますと偶然兄も来ており、病院で別れてから、その後私が自宅に着きますと病院からすぐ来て下さいと電話があり、母はすでに亡くなっておりました。
このタイミングというのは、「もう十分やってもらったから、これで逝くよ。」ということだったのかと考えて自分自身を納得させております。


by ちょんまげ侍金四郎 (2014-12-22 11:17) 

hana

金四郎さん、そうでしたか。
私は今の職場で多くの認知症を患った方と出逢います(*^^*)
その方の生きた人生を出来るだけ知りたくていろいろお話を聴かせてもらいます。認知症のことはまた後日記事に書かせていただきますね。
お母様、きっとお兄様と金四郎さんの二人が自分を訪ねて下さった幸せな日に旅立たれたのではないでしょうか?幸せな満たされた日になったのかも知れませんね…なんとなくそんな気がします(*^^*)
by hana (2014-12-23 20:39) 

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