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家に帰ろう… [そらいろの軌跡(過去の記録から)]

暑い夏のこと…
静かだったステーションがざわつき始めました…
職員一人の退職と一人の結婚休暇で詰まったスケジュールに
次々と新規依頼が舞い込んできます。

その方の退院の日は突然決まりました。
最期まで診てくれるといった主治医に別れを告げ、5年前に建てたマイホームにその方は帰ってきました…
ご自宅に到着するのは17時過ぎ…
ちょうど少し離れた市にある病院から呼吸器で帰る利用者さんのカンファレンスと重なってしまい、その日は主治医の先生とケアマネージャーさんにお願いしました。
カンファレンスが終わったのは19時過ぎ…退院の安否を電話で確認
「無事に帰ってきて、先生の往診も明日でいいと言ったんです。大丈夫です。」
では、夜の初回訪問はやめて翌朝訪問を予定しましょう。

翌朝5時前、電話が鳴ります…
「(24時間の)点滴の落ちが悪いみたい。昨夜は一時間ごとに吐いて眠れていないんです。点滴が落ちていないからかしら?大丈夫なんででしょうか?」

膵臓がん…嘔吐はイレウスによるもの。そのため退院直前から栄養は全面中心静脈からとなっていました。
退院前に一時胃管を入れたものの、胃管を留置するよりも吐いた方がよいと言って抜いて退院されたのでした。
末期がんの患者様の訪問はできる限り早い訪問を予定するのですが、タイミングを間違えると緊急の訪問が初回になることもあるのです。
おそらく、退院直後に訪問していても今回の事態は避けられなかったでしょうが…。

訪問前に在宅の担当医(こちらもまだ患者様には会っていませんが)に電話をし、相談の内容とこちらで胃管を入れてもよいか確認してから訪問。
実は、胃管の挿入は「医行為」なので事前の確認やプロトコールが必要です。
退院前に入院中の主治医にも胃管を抜いて帰ってくることを聞いていたので、緊急時に看護師が挿入することがあったら注意する点は何かと入院中の挿入の長さを確認していました。

初回訪問…
退院日に合わせてケアマネージャーと業者で介護用ベッドを入れてくれていました。
さすが!急な退院だったのに仕事が速い!!業者さんとの連携もばっちりです。

電話でお話した印象通りの人なつこい優しいかわらしい奥さん…
その方は…やはり胆汁様のものを嘔吐していました…
ご本人に胃管を一時的にでも挿入して胃の内容物をドレナージしようと説明し胃管を入れました。
100㏄ほど吸引すると、嘔吐は治まり眠り始めました。
よかった…。
主治医もその直後到着し、本人と奥さんと相談して胃管はそのまま留置することになりました。
その日の夕方、再度訪問すると吐き気が全くなくなった訳ではないけれど
嘔吐はなくなっていました…

夕方は薬剤師さんとの同行訪問
在宅での塩酸モルヒネ注の受け渡しは家族にできないため、
看護師の訪問に合わせて薬剤師さんも訪問してくれることになったのです…

いいメンバーだなと嬉しくなります…
このご家族に呼び寄せられて在宅の力が集結したのだと
私も身が引き締まります…

この記事は過去に書いたものを再掲載しています

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